まだ大丈夫?〜50代からの口腔機能低下症〜

  • 歯にいい話

最近、「しゃべりづらいな」「むせやすくなった気がする」「やわらかい物ばかり食べている」・・・そんな変化、感じていませんか?

お口の機能が衰えてきているサインかもしれません。定期的に歯医者で検診を受けることで、お口の健康状態がわかり、必要に応じてトレーニングなどの対策を始めることができます。

元気なお口でおいしく食べるために、まずは、検診を受けてみませんか?

 

 

食べ物の流れ〜お口から胃へ〜

「食べる」ということは、食べ物をお口に入れ、歯の上にのせて噛み砕き、飲み込みやすい形に整えて、のどの奥を通して(=飲み込む)食道を通って胃へ送りこむことです。

「食べる=噛む」と思われがちですが、実はそれだけではありません。この一連の動きには、歯や入れ歯だけでなく、唇や舌、頬、のどの筋肉など、さまざまなお口の周りの組織が関わっています。

例えば、唇をしっかり閉じられないと、食べ物が口の外にこぼれてしまいます。また食べ物は、舌で歯の上にのせて歯によって粉砕されます。さらに、食べ物が頬と歯茎の間に落ちないように、頬が支えています。意外かもしれませんが、唾液も重要な役割を果たしています。お煎餅をお口に入れた時のことを想像してみて下さい。口の中に水分がなかったらどうですか?パサパサとしてうまく塊にできないですし、のどに送り込むのも難しくなります。

このように食べるために必要なお口周りの様々な筋肉の動きを、「口腔機能」と呼びます。

 

口腔機能低下症とは

お口周りの筋肉は、手や足の筋肉と同じように、加齢とともに徐々に衰えていきます。さらに使わないでいると、衰えは一層進んでしまいます。そして食べこぼすようになったり、うまく噛めなかったり、滑舌が悪くなったりといった症状が現れてきます。

こうした食べる・飲み込む・話すなどの複合的な機能の低下のことを「口腔機能低下症」といいます。

多くの方は、自分のお口は問題ないと思っていますがこうした衰えを予防するためには、まずはお口の機能の状態を知ることが重要です。

 

では、実際に「口腔機能低下症」とはどのようなものなのかみていきましょう。

 

口腔衛生状態不良…お口の中が汚れている

 

口腔内清掃不良による舌苔の様子お口の機能低下により環境が悪化することがあります。

目視で舌苔と呼ばれる汚れの付着程度を確認し、50%以上だと口腔衛生状態不良と診断されます。

 

口腔乾燥…お口の中が乾いている

 

唾液には、お口の中を清潔に保つほかに、食べ物を一塊にして飲み込めるようにするなど、大切な役割があります。唾液が少なくなると、味覚も感じにくくなり食べる楽しみにも影響して、食欲低下などにもつながります。口腔乾燥が気になる方は、保湿スプレーやジェルも販売していますのでご相談ください♪

 

 

咬合力低下…噛む力が弱くなっている

 

噛む力が弱くなると、食べられない食べ物が出てきます。そうなるとやわらかい物ばかりを摂り、栄養不良につながりかねません。

永久歯は、親知らずまで含めると32本あります。グラグラした歯や歯の根しかない場合を除いて歯の数が20本未満だと咬合力低下につながります。

 

舌口唇運動機能低下…舌や唇がスムーズに動かない

 

「パ」「タ」「カ」の音を声に出してもらい、唇や舌がスムーズに動くか調べます。入れ歯を使用している方は装着して検査します。

「パ」は唇、「タ」は舌の前方部、「カ」は舌の後方部を使って発音します。スムーズに発音できないのは、その部分の機能が低下していることを意味します。舌や唇の動きがにぶくなると、発音がはっきりしなかったり、食べ物をうまく口の中で動かせなかったりなど会話や食事に影響します。

口腔機能改善のパタカラ体操

 

「パ」「タ」「カ」をそれぞれ5秒間繰り返し発音してもらい、ストップウォッチなどを使って計測後、1秒間あたりの発音回数を算出します。

1秒間あたり6回未満だと舌口唇運動機能低下と診断されます。

 

低舌圧…舌の力が弱くなっている

舌の力が弱くなると、食べ物を喉の奥のほうへ移動させるのが難しくなったり、食べ物が飲み込みにくくなったりします。

 

咀嚼機能低下…食べ物をよく噛めない

 

食べ物を細かくする機能が衰えていると、食べ物が飲み込みにくかったり、胃腸に負担がかかったりします。

 

 

一般の歯医者を受診される方の50代では約半数、60代では約6割の方に機能の衰えが見られたというデータがあります。さらに驚くべきことに、50歳未満でも3割以上の方に口腔機能の低下が確認されました。しかし、これらの方のほとんどがご自分のお口の衰えに気づいていませんでした。つまり、口腔機能の衰えを自覚することは難しいということです。

 

やわらかい物ばかりの食生活や、人と話す機会が少ない状態が続くと、お口の筋肉は知らず知らずのうちに衰えてしまいます。ですので健口な方も口腔機能低下症と診断された方も大切なことは、日常生活の中で「お口をつかうこと」です。

そこで、例えば一品は噛みごたえのある料理を取り入れてみたり、繊維質の多い野菜を積極的に食べたりすることがおすすめです。また、カラオケなど声を出す機会を楽しむのも効果的です。

 

検診はお口の状態を知り、健康への関心を高めるチャンスです。毎日の生活習慣に加えて、定期的に検診を受けることで「食べる力」「話す力」を守ることにつながります。

これからも元気に過ごすために、ぜひ検診を受けましょう!!

 

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