口腔粘膜とは?口腔粘膜疾患の種類や治療方法、放置リスクも徹底紹介

  • 歯にいい話

こんにちは。愛媛県松山市にある松友歯科クリニックです。

歯科医院で受けられるのは虫歯や歯周病の治療だけではありません。例えば、身近な疾患である口内炎は歯科医院で治療を受けることができます。口内炎などは口腔粘膜の病気に分類されます。

歯科医院が扱う口腔粘膜疾患にはどのような種類があるのでしょうか。治療方法も気になるところです。

今回は、口腔粘膜について詳しく解説します。口腔粘膜疾患の種類や治療方法、放置するリスクなどについてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

口腔粘膜とは

口腔粘膜の診察の様子

口腔粘膜は、お口の中にある粘膜で、外部の刺激から口腔内を保護する役割を担います。この点では皮膚と役割がよく似ています。

ただし、口腔粘膜は皮膚に比べて柔らかく、皮膚のようなしっかりとした角質を持っているのは歯肉や硬口蓋、舌背に限られています。皮膚は外部環境に直接さらされるため、防御機能が強化されています。

一方、口腔粘膜は常に湿潤環境にあります。口腔粘膜には唾液腺があり、唾液を分泌することで口腔内の潤滑性を保ち、自浄作用や消化補助機能を発揮します。

また、口腔粘膜には血管や神経が分布し、味覚や触覚などの感覚機能を担います。皮膚が触覚や痛覚、温度感覚を担うのに対して、口腔粘膜はこれらに加えて味覚を感じることができます。これは味蕾(みらい)と呼ばれる感覚器官の働きによるものです。

口腔粘膜疾患の種類

口腔粘膜疾患を患っている女性

口腔粘膜疾患の種類を確認しましょう。

白板症

白板症は口腔粘膜に見られる白色の病変です。口腔がんに進行するリスクがあるので注意が必要です。

白板症ができる場所は歯ぐきや舌、頬の内側などです。こすっても取れないのが特徴で、表面は滑らかなこともあれば、でこぼこしている場合や赤い斑点を伴う場合もあります。また、白板症の多くは無症状なのでなかなか気づきにくいです。

白板症の原因として考えられているのは、喫煙や過度の飲酒、慢性的な機械的刺激、ビタミンA・Bの不足などです。

扁平苔癬

扁平苔癬は難治性の病変で、口腔内だけでなく皮膚にも発症します。口腔内の扁平苔癬に関しては、主に頬の粘膜に発症するほか、舌や口唇に発症することもあります。

扁平苔癬の特徴は白いレース状または網目状の病変です。こうした病変は、粘膜の硬化と肥厚によって生じます。病変周囲は赤みを帯び、びらんや潰瘍を伴うこともあります。

扁平苔癬は自己免疫疾患と関連していると考えられており、金属アレルギーの際に現れる症状のひとつでもあります。アマルガムや金銀パラジウム合金などの歯科用の素材によって引き起こされることもあるのです。

褥瘡性潰瘍

褥瘡性潰瘍は、口腔内の粘膜に生じる潰瘍性病変の一種で、主に慢性的な機械的刺激によって引き起こされます。例えば、不適合な入れ歯、鋭利な歯の端、不適切な詰め物や被せ物などが粘膜に触れ、刺激が加わると潰瘍ができることがあるのです。

潰瘍の周囲は赤みを帯び、触ったり食事をしたりしたときに痛みを感じることがあります。頬の内側や舌の端、唇の内側などにできることが多いです。

アフタ性口内炎

アフタ性口内炎では白色または黄白色の円形病変が現れ、周辺は炎症を起こして赤くなります。頬の内側や舌、唇の内側、歯肉などにできることが多いです。

鋭い痛みを伴い、食事中や歯磨き時に症状が悪化しやすいです。熱いものや刺激の強いものを口にしたときに痛みを引き起こすこともあります。

アフタ性口内炎の原因はさまざまで、ストレスや栄養不足、睡眠不足、免疫力低下、女性のホルモンバランスの変化などが挙げられます。1~2週間で自然治癒することが多いですが、繰り返し発症しやすいのが特徴です。

口腔カンジダ症

口腔カンジダ症は、カンジダ菌という真菌の増殖によって引き起こされる感染症です。健康な口腔内にもカンジダ菌は存在しますが、数が増加することで症状を引き起こします。

典型的な症状は、口腔内や舌に白い苔のようなものが付着するというものです。この白い斑点は、軽く擦ると剥がれ落ちるのが特徴です。症状はほかにも、口腔内や舌の痛み、ヒリヒリする感じ、味覚異常などがあります。

口腔カンジダ症のリスク要因には、口腔衛生状態の悪化、長期的な抗生物質や免疫抑制薬の使用、糖尿病、免疫機能の低下などがあります。

口腔粘膜疾患の治療方法

口腔粘膜疾患の治療方法を歯科医師から聞く女性

口腔粘膜疾患の治療方法について確認しましょう。

白板症の治療法

白板症の治療では、まず原因と考えられるものを除去します。例えば、喫煙者は禁煙をする、不適合な入れ歯や鋭利な歯を調整するなどです。ビタミン不足が疑われる場合は、食生活を見直したり、サプリメントを取り入れたりします。

また、外科的切除やレーザー治療の選択肢もあります。白板症は再発する可能性があり、新たな病変が発生する可能性もあるため、長期にわたる経過観察が重要と考えられています。

扁平苔癬の治療法

金属アレルギーが疑われる場合は、パッチテストなどのアレルギー検査を行います。アレルギーが確認された場合、原因となる金属を除去し、別の材料に置き換えます。

薬物療法では、ステロイド軟膏を用いて炎症の抑制と症状の緩和を図ります。うがい薬を用いることもあります。

褥瘡性潰瘍の治療法

褥瘡性潰瘍の治療では、原因を特定して除去します。歯科医師が口の中を詳しく確認し、潰瘍の原因を突き止めます。入れ歯が原因であれば、調整や再作製を行います。鋭利な歯の端や不適切な歯科修復物が原因であれば、滑らかになるように調整します。

潰瘍に対しては、抗炎症作用のある軟膏の塗布や、うがい薬などを使用します。口腔内を清潔に保つことが大切なので、必要に応じて口腔ケアの指導も行われます。

アフタ性口内炎の治療法

アフタ性口内炎の治療では、塗り薬や貼り薬などを使用します。このほか、うがい薬やビタミン剤などが処方されることもあります。

口腔内を清潔に保つことは、予防や再発防止に役立ちます。また、ストレス管理や十分な睡眠、バランスの取れた食事、ビタミンB群の摂取も大切です。

口腔カンジダ症の治療法

軽度の場合は抗真菌薬を使用することで改善が見られることが多いです。口腔内で溶かす錠剤やシロップ剤などがあり、直接感染部位に作用してカンジダ菌の増殖を抑制します。

治療中や治療後は、適切な口腔ケアが非常に重要です。例えば、歯磨きやうがい、舌のクリーニングなどです。また、入れ歯を使用している場合は、入れ歯の洗浄と適切な管理が大切です。

口腔粘膜疾患の放置リスク

口腔粘膜疾患を放置し痛みが強くなって困っている女性

口腔粘膜疾患を放置するリスクを確認しましょう。

症状の悪化

口腔粘膜疾患の多くは、痛みや不快感を伴います。例えば、口内炎ができると、食事の際に痛みを引き起こし、食事の摂取が困難になることがあります。特に酸味や辛味のある食品は刺激が強く、痛みを引き起こしやすいです。

口腔粘膜疾患のなかには自然治癒が期待できるものもありますが、治療をせずに放置した結果、不快な症状の悪化につながることもあります。放置せずに治療を受けることは、症状を和らげたり、原因を除去したりするためにとても重要です。

二次感染

口腔粘膜疾患を放置すると、細菌や真菌による二次感染を起こすリスクがあります。例えば、口内炎や潰瘍が長引くと、口腔内の常在菌が増殖し、感染症を引き起こしやすくなります。特に免疫力が低下している場合には感染症を発症しやすくなります。

二次感染を起こすと、全身的な健康被害につながる可能性もあるでしょう。

低栄養状態

口腔粘膜疾患による痛みや不快感は、食事の摂取を妨げる要因となります。食事中の痛みやしみる感覚によって食欲が低下し、必要な栄養素を十分に摂取できなくなることがあるのです。

特に高齢者や免疫力が低下している方は低栄養状態に陥りやすく、体力や免疫力のさらなる低下を招く可能性があります。また、口腔内の痛みや不快感が原因で、柔らかい食べ物や飲み物のみを摂取するようになると、栄養バランスが偏る心配もあります。

がんへの進行

白板症は、前がん病変であることが知られています。舌や歯肉に生じた白板症が悪性化する可能性があるので、早期の診断と適切な治療が求められます。初期段階では痛みなどの自覚症状が少ないため、定期的に検診を受けることが重要です。

まとめ

口腔粘膜に異常がないか口をチェックする女性

口腔粘膜疾患では頬の内側や舌が赤くなったり、痛みを伴ったりします。症状が似通っていても口腔粘膜疾患にはいくつもの種類があり、治療法も異なります。自己判断で市販の薬を使用していると、改善がみられずに悪化する心配があります。

口腔粘膜に疾患がみられる場合は、適切な治療を受けることが欠かせません。白板症は口腔がんに進行するリスクもあるので早期発見が重要です。気になる症状がある方は、歯科医院を受診して相談しましょう。

口腔粘膜の疾患にお悩みの方は、愛媛県松山市にある松友歯科クリニックにお気軽にご相談ください。

当院では、一般歯科や小児歯科・小児矯正、ホワイトニング、インプラントなど、さまざまな診療を行っています。ホームページはこちら、お電話でのご予約もお待ちしております。

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