たかが口内炎?それとも重大な病気?口内炎に似たお口の病気の種類と特徴

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はじめに

「口の中に白い膜のようなものができている」「痛みのないできものがあるけれど、これって放置して大丈夫?」

このように、歯以外の「お口の粘膜」の異常に気づいて不安を抱えていませんか?

お口の中は歯だけではなく、頬の内側、舌、歯ぐき、上あごなど、すべて「口腔粘膜(こうくうねんまく)」という柔らかい組織で覆われています。

お口のトラブルといえば虫歯や歯周病を思い浮かべがちですが、実は粘膜の病気も存在します。

今回は、歯科医院でよくみられる代表的な粘膜病変の種類や原因、そして「病院を受診すべき危険なサイン」についてお話します。

口内炎に似ている口腔粘膜病変とは

口腔粘膜病変(こうくうねんまくびょうへん)とは、先ほどお話したお口の中の粘膜や唇に生じる赤み(発赤)、白い変色、水ぶくれ、潰瘍、しこりなどの異常のことをいいます。口内炎のような一時的な炎症から、前がん病変(がんに進行する可能性がある病気である白板症、さらには全身の病気の症状のひとつとして現れるものまで、種類は多岐にわたります.

通常の口内炎との違いは?歯科で相談したい5つのサイン

通常の口内炎は1~2週間程度で治りますが、2週間以上たっても改善しない場合は注意が必要です。特に、数ヶ月にわたって治らない口内炎は、口腔がんなど重大な病気のサインである可能性がありますので早めに受診しましょう。

精密検査が必要になる場合は、粘膜の細胞を少し採取して調べる「細胞診」や組織を切り取って調べる「生検(組織診)」を行うため、大学病院や総合病院の口腔外科をご紹介します。

  • 2週間以上経っても小さくならない、または悪化している
    通常の口内炎であれば、1〜2週間ほどで組織が修復され、自然に治っていきます。2週間以上たっても潰瘍が小さくならない、むしろ大きくなっている場合は、別の病気や悪性腫瘍(口腔がん)の疑いがあります。
  • 触っても痛みがほとんどない、または「しこり」がある
    「痛くないから大丈夫」というのは大きな誤解です。初期の口腔がんは、一般的な口内炎と違って強い痛みを伴わないことが多く、粘膜の奥に硬い「しこり」を感じることも特徴のひとつです。
  • 白い部分をこすっても剥がれ落ちない
    カンジダ症(舌や頬の粘膜でカンジダ菌が増える病気)の白い苔のようなもの(白苔)はこすると剥がれますが、先述した「白板症」や初期のがんは、組織そのものが角化(硬く変化)して白くなっているため、こすっても剥がれません。
  • 病変の境界が曖昧で、表面がザラザラ・デコボコしている
    口内炎は境界がはっきりしたきれいな円形をしていますが、悪性の病変は周囲との境界がはっきりせず、表面がカリフラワーのようにデコボコしていたり、ただれが広がっていたりします。
  • 同じ場所 
    合わない入れ歯でいつも歯ぐきに傷ができている場合や、尖った歯や被せ物、傾いて生えている親知らずなどが常に頬や舌に当たり、慢性的な刺激が続いてる場合には、細胞の変異を誘発し将来的にがん化を招く可能性があります。

口内炎に似たお口の病気の種類と特徴

口腔粘膜病変は、病変の見た目(色や形状)や原因によって、炎症性、角化性(硬くなる)、腫瘍性(体の細胞が異常に増えてできた「こぶ」や「かたまり」)などに分類されます。早期発見が重要な病変も含まれるため、症状に合わせて見分けることが必要です。主な分類と代表的な病気は次のとおりです。

 

白色病変(白斑):白板症・口腔扁平苔癬・口腔カンジダ症

白板症のイメージ

1)白板症:こすっても剥がれない白く見える病変

前がん病変(がんに進行する可能性のある病気)の代表です。

お口の粘膜、とくに頬の粘膜や舌のふち、歯ぐきにみられる白い病変で、こすっても剝がれないものをいいます。

比較的よくみられる病変で、とくに舌にできたものは悪性化する可能性が高いため、前がん病変の代表的なものとされています。

びらん(粘膜の浅い欠損)をともなうこともあり、ものが当たると痛んだり、食べ物がしみたりします。

(原因)

喫煙やアルコールによる刺激、入れ歯などによる慢性的な刺激、ビタミンAやBの不足、さらに加齢や体質なども関係するといわれています。

(治療)

ビタミン製剤の服用や禁煙によって治ることもあります。

しこりや潰瘍を伴うものは組織を採って検査する必要があります。

2)口腔扁平苔癬:網目状・レース状に白くなる慢性の炎症

口腔扁平苔癬(こうくうへんぺいたいせん)は、皮膚や粘膜にできる角化と炎症をともなう治りにくい病変です。

中年期以降の女性に多く、頬粘膜によくみられ、舌や口唇にも生じます。白く角化した部分がレース状にみられ、周囲が赤くなっているのが特徴です。

免疫系の細胞が粘膜を攻撃することでびらんや潰瘍ができ、刺激物がしみる、ものが当たるとひりひりするなどの症状が出ます。まれにがん化することもあります。

(原因)

アレルギー、とくに歯科用金属によるものや遺伝的な素因、自己免疫疾患、ストレスなどの精神的な因子、さらに代謝障害などの関与が考えられていますが、正確な原因はわかっていません。

(治療)

うがい薬や軟膏を使います。金属アレルギーが疑われる場合は、原因と思われる詰め物や被せ物を取り除く必要があります。

3)口腔カンジダ症:真菌(カビ)の感染による白い苔状の付着物(こすると取れる)

高齢化が進んだことで、よくみられるようになっています。カンジダ・アルビカンスという真菌(カビ)によって起こるお口の感染症でお口の粘膜の痛みや味覚障害が出ることもあります。

灰白色あるいは乳白色の点状、線状、あるいはまだら状の白苔が粘膜の表面に付着し、ガーゼなどでぬぐうと取れるのが特徴です。「赤く」「ただれたような」病変が広がる「赤色カンジダ症」もあります。

(原因)

カンジダ菌はお口の中にもともといる常在菌の一種で、普段はほかの菌と共存し一定以上は増えないようになっています。しかし、ステロイド薬の使用や糖尿病、全身の衰弱などによる免疫力の低下や唾液量の減少、長期間の抗菌薬の服用などによって菌のバランスが崩れると、カンジダ菌が異常に増えて発症します。

(治療)

お口の中を清潔にし、抗真菌薬を含むうがい薬や塗り薬を使います。ときに抗真菌薬の飲み薬が必要になることもあります。

赤色病変(びらん・紅斑):紅板症・地図状舌

粘膜がただれて赤く見え、炎症を起こしている状態です。

紅板症(こうばんしょう)のイメージ

1)紅板症(こうばんしょう):白板症よりもがん化の可能性が高い赤い病変

表面が赤く、白板症よりもがん化の可能性が高い(30%~70%)とされる前がん病変です。舌、口底(舌の下)、歯ぐき、頬の粘膜などにみられます。

(原因)

喫煙・飲酒:タバコやアルコールの刺激が粘膜を傷つけます。

物理的な刺激:合わない入れ歯、銀歯、尖った歯が同じ場所に当たる。

お口の中の不衛生:お口の中が汚れていて、細菌が多い。

栄養・免疫:ビタミン不足や免疫力の低下も関係します。

(治療)

外科的に切除することが望ましいとされています。治療後も定期的に経過をみる必要があります。

2)地図状舌:舌に地図のような紅斑が出る状態

舌の表面に赤くなった部分と白っぽく見える部分が混ざり、まだら模様に見えます。日によって、色や形が変わることがあります。

地図状舌のイメージ

(原因)

 舌の表面には舌乳頭(ぜつにゅうとう)と呼ばれる小さな突起があります。赤い部分は、その舌乳頭がはがれて薄くなった状態です。

(治療)

地図状舌は病気とは限らず、特に子どもでは健康な状態でも見られることがあります。痛みがなく食事に支障がない場合は、経過観察で問題ありません。

一方、刺激物で舌がしみる。痛みが続く、全身の症状を伴うといった場合は、歯科医院への受診をお勧めします。

アフタ性・潰瘍性病変:アフタ性口内炎・ベーチェット病・口腔がん

粘膜の表面が欠損し、痛みを伴う病変です。

口内炎のイメージ

1)アフタ性口内炎

唇や舌などに繰り返しできる口内炎のことです。通常は1~2週間程度で治癒します

2)ベーチェット病

口内炎を繰り返す全身の病気の一種です。

口腔がんのイメージ

3)口腔がん(扁平上皮がんなど)

舌、歯ぐき、頬の内側など、お口の中にできる悪性腫瘍です。主に舌がんと歯肉がんに分かれます。2週間以上治らない口内炎や硬いしこりが特徴的な初期症状です。早期発見と治療が極めて重要です。

 日本人にもっとも多いのは舌がんで、口腔がん全体の約55%を占めています。ほかにも、歯ぐきにできる歯肉がん(約20%)、頬の内側にできる頬粘膜(きょうねんまく)がん(約10%)、舌と下の歯ぐきの間にできる口腔底(こうくうてい)がん、上あごにできる硬口蓋(こうこうがい)がん、唇にできる口唇(こうしん)がん、唾液腺がんなど、さまざまな種類があります。

(原因)

喫煙と飲酒、不衛生なお口の環境、合わない入れ歯による慢性的な刺激などが挙げられます。

(治療)

手術(外科治療)が中心となり、必要に応じて放射線治療や薬物療法(化学療法)を行います。

水疱性病変(水ぶくれ):ヘルペス・帯状疱疹・手足口病など

水ぶくれができる病気で、破れるとただれや潰瘍になります。

1)ウイルス感染症

単純ヘルペス(HSV)の感染によって、唇や口の周り、性器などに痛みを伴う小さな水ぶくれができるウイルス性の病変です。抗ウイルス薬で早めに治療します

2)帯状疱疹

子どもの頃にかかった水ぼうそう(水痘)のヘルペスウイルス(水痘帯状疱疹ウイルス)が、神経内の付け根に残っていて、体調が悪いときなどに再び活性化して発症します。

(症状)

神経の通り道に沿って発疹がたくさん出て、特に三叉神経(さんさしんけい)が通る顔の皮膚によくみられます。広い範囲に帯状の赤みと小さな水ぶくれが出ます。

強い痛みを伴い、重症化する場合もありますので注意が必要です。

(治療)

抗ウイルス薬や消炎鎮痛薬のほか、二次感染を防ぐために抗菌薬を使います。お口の中は、うがい薬やトローチで清潔に保ちます。

3)手足口病など

コクサッキーA16、あるいはエンテロウイルス71などによる感染によって起こるウイルス感染症です。お口の中の小さな水ぶくれが破れてアフタのような潰瘍になるほか、手足に小さな水ぶくれができるのが特徴です。

4)ヘルパンギーナ

エンテロウイルス属、とくに流行性のものはA群コクサッキーウイルスの感染によって起こります。

ヘルペス性口内炎がお口の前の方に症状が出るのに対し、ヘルパンギーナはお口の奥やのどに症状が出るのが特徴です。夏に流行しやすく、子どもに多くみられますが、まれに大人もかかります。

5)自己免疫疾患

尋常性天疱瘡(じんじょうせいてんぽうそう)、類天疱瘡(るいてんぽうそう)などがあります。

6)粘液嚢胞

唇の裏などを噛んでしまい、唾液の通り道が詰まってできる透明な水ぶくれで、良性の病変です。

その他:エプーリス・色素沈着など

 1)腫瘍・増殖性病変

エプーリス(歯ぐきにできる良性のこぶのような病変)、血管腫、線維腫などがあります。

2)色素沈着

メラニン色素の沈着や悪性黒色腫などがあります。

口内炎やお口の粘膜の異変は、お気軽に当院へご相談ください

お口の粘膜は新陳代謝がとても活発なため、健康な状態であれば傷がついても比較的早く治る傾向があります。そのため「なかなか治らない異変」には、何らかの重大なサインや、お口の環境の乱れが隠されていることが少なくありません。

「ただの口内炎だと思うけれど、長引いていて心配…」

「鏡で見たら、頬の裏に見たことのない白い模様がある」

歯の治療や定期健診の際に、気になる粘膜の症状についてもぜひお気軽にご相談ください。

早期発見・早期治療が、大切なお口と全身の健康を守る一番の近道です。

 

お問い合わせ:TEL 089-952-8214

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院長・歯科医師 松友豊伸
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