虫歯を治療せずに放置するとどうなる?リスクと進行を抑える方法

こんにちは。愛媛県松山市にある松友歯科クリニックです。
「少しくらいの痛みなら」と虫歯を放置していませんか。初期段階では大きな自覚症状がないことも多いため、つい治療を後回しにする方も少なくありません。
しかし、虫歯は自然に治ることはありません。放置すればするほど進行し、痛みや歯の崩壊だけでなく、全身へ悪影響を与えるリスクもあります。
この記事では、虫歯を治療せずに放置することで起こり得る問題や、進行を抑えるためにできる対策について詳しく解説します。
INDEX
虫歯のメカニズム
虫歯は、口腔内に存在する虫歯菌が食べ物の糖分を分解して酸を作り出し、その酸によって歯の表面が溶かされることで発生します。歯の表面はエナメル質という非常に硬い組織で覆われていますが、酸に対しては弱いのが特徴です。
長時間口内が酸性の状態が続くと、徐々に脱灰(ミネラルが失われる現象)が進行します。脱灰が進むとエナメル質に小さな穴があき、これが虫歯の初期段階となります。
通常、唾液には酸を中和し、歯を修復する再石灰化の働きがあります。頻繁な飲食やプラーク(歯垢)の蓄積によって口腔内が酸性に傾いたままだと、再石灰化が追いつかず、虫歯が悪化していきます。
さらに進行すると、エナメル質の内側にある象牙質や歯髄(神経)にまで到達し、痛みや炎症を引き起こすようになります。以上のことより、虫歯の進行を防ぐためには、プラークコントロールと食生活の見直しが大切といえるでしょう。
虫歯を治療せずに放置すると
初期段階の虫歯であれば痛みもほとんどなく、見た目にも大きな変化がないことから、そのまま放置する方も少なくありません。
しかし、虫歯は自然に治癒することはなく、時間とともに確実に進行していきます。放置すると歯や口腔内にとどまらず、全身の健康にも悪影響を及ぼすリスクがあるため、早期の対応が欠かせません。
ここでは、虫歯を治療せずに放置した場合に起こり得る問題について詳しく解説します。
歯の内部まで虫歯が進行する
虫歯はエナメル質に小さな穴があくことから始まりますが、放置するとその穴は徐々に拡大し、内部の象牙質にまで達します。象牙質はエナメル質よりも軟らかいため、虫歯の進行が加速し、痛みやしみる症状が現れやすくなります。
さらに進行すると歯髄(神経)にまで達し、強い痛みを伴う歯髄炎を引き起こすことになります。この段階になると、根管治療が必要になるケースが多く、治療もより複雑で時間がかかるようになります。
歯を失うリスクが高まる
虫歯が重度に進行すると、歯の構造自体が脆くなり、最終的には保存が難しくなることもあります。根の部分まで虫歯が進んだ場合には、抜歯が必要となることもあり、抜歯した部分を補うためには、インプラントやブリッジ、入れ歯といった補綴治療が必要になります。
これらの治療は費用も時間もかかるうえ、天然歯のような感覚を完全に再現することは難しいです。できるだけ歯を保存するためにも、早期治療が重要です。
感染が広がり全身に影響を及ぼすこともある
虫歯が進行し、歯髄や根の先端にまで感染が及ぶと、歯根の周囲に膿がたまる歯根尖膿瘍(しこんせんのうよう)という状態になることがあります。膿を放置すると顎の骨に炎症を広げたり、血流に乗って全身に菌がまわったりすることもあります。
特に、糖尿病や心疾患など基礎疾患を抱えている方では、命に関わる合併症を招く危険性もあるため、注意が必要です。
咀嚼機能や発音への影響
虫歯が原因で歯を失ったり、噛み合わせが乱れたりすると、食事をしっかり噛むことができなくなります。これにより、消化不良を起こしやすくなるほか、食べる楽しみが損なわれ、食事量や栄養バランスにも悪影響を及ぼす可能性があります。
また、前歯など目立つ部分に虫歯が広がると、発音にも支障が出ることがあり、会話にストレスを感じるようになるケースも見られます。口元へのコンプレックスが生じることで、精神的な影響にもつながる恐れがあります。
治療費や通院期間が増える
虫歯を放置すればするほど、治療の範囲は広がり、必要な処置も複雑になります。初期の虫歯であれば簡単な詰め物で治療できても、進行に伴い神経の治療が必要になることもあります。最悪の場合には抜歯が必要になることもあるでしょう。
これに伴い、治療費も高額になり、通院回数も増えるため、患者さま自身の経済的・時間的負担が大きくなります。早期に治療を受けることで、負担を最小限に抑えられます。
虫歯の治療法
虫歯は自然に治ることがないため、早期に適切な治療を行わなければなりません。進行度に応じて治療方法は異なり、歯の状態に合わせた適切な処置を受けることが歯の寿命を延ばすために欠かせません。
ここでは、虫歯治療の代表的な方法について解説します。
初期虫歯に対する治療
初期段階の虫歯では、まだ歯に穴が開いていないため、削る治療を行わずに進行を抑えることが可能です。フッ素塗布によって歯の再石灰化を促進し、歯の表面を強化する方法が取られます。
また、日々の正しい歯磨きや食生活の見直しを指導し、虫歯の進行を防ぐことを目指します。この段階であれば、負担の少ない対応で健康な歯を保つことが可能です。
小さな虫歯に対する治療
エナメル質や象牙質に達した小さな虫歯の場合は、虫歯部分を削り取り、コンポジットレジンという樹脂材料で修復する方法が一般的です。コンポジットレジンは天然歯に近い色調を持つため、見た目にもある程度自然な仕上がりになります。
短時間で処置が完了し、身体への負担も少ないため、多くの軽度の虫歯治療に用いられています。
中等度の虫歯に対する治療
虫歯が進行し、広範囲に象牙質を侵している場合には、削った部分を型取りして詰め物・被せ物で補う治療が必要になります。インレーは部分的な修復に、クラウンは歯全体を覆う形で用いられます。
使用する材料には、金属やセラミック、ジルコニアなどがあり、機能性や審美性を考慮して選択されます。特に、審美面を重視する場合には、天然歯に近い見た目を持つセラミック素材が選ばれることが多いです。
重度の虫歯に対する治療
虫歯が歯髄(神経)にまで達して炎症や感染が起きている場合には、根管治療が必要です。根管治療では、感染した神経や組織を取り除き、内部をきれいに洗浄・消毒したうえで薬剤を詰め、最終的に被せ物で歯を保護します。
この治療によって歯の保存を図りますが、感染が進みすぎている場合には、抜歯が選択されることもあります。歯を失った場合には、ブリッジやインプラント、入れ歯などで補う必要があります。
定期的なクリーニング
虫歯治療を受けた後も、再発を防ぐためのケアが重要です。治療後は詰め物や被せ物があることで、歯磨きがやや難しくなった場合は、プラークがたまることもあります。
丁寧なブラッシングとデンタルフロスの使用、定期的な歯科検診によるチェックと歯科衛生士によるプロフェッショナルクリーニングを行うことで、再発リスクを大幅に減らせます。
虫歯の進行を抑える方法
虫歯は自然治癒することがないため、進行を食い止めるには積極的な対策が必要です。特に初期段階であれば、適切なケアによって進行を抑えられる可能性もあります。
ここでは、虫歯の進行を抑えるために重要な方法について詳しく解説します。
毎日の正しい歯磨きを徹底する
虫歯予防の基本は、プラーク(歯垢)を確実に除去することです。プラークは虫歯菌が繁殖する温床となり、酸を産生して歯を脱灰させます。そのため、毎日の歯磨きを正しく行うことが不可欠です。
磨き残しを防ぐためには、歯ブラシを小刻みに動かしながら一本一本丁寧に磨くことがポイントです。また、デンタルフロスや歯間ブラシを併用して、歯と歯の間にたまった汚れまでしっかり除去することが重要です。
フッ素を活用して歯の再石灰化を促す
フッ素には、初期虫歯の脱灰を修復する再石灰化を促進する働きがあります。日常的にフッ素入りの歯磨き剤を使用することで、歯の表面を強化し、酸に対する抵抗力を高められます。
さらに、歯科医院でのフッ素塗布やフッ素洗口も効果的な補助的手段となります。
規則正しい食生活を心がける
頻繁な間食や糖分の多い食品・飲料の摂取は、虫歯菌の活動を活発化させる原因になります。特に、砂糖を含む飲食物をだらだらと摂取する習慣は、口腔内を長時間酸性に傾け、虫歯リスクを高めます。
虫歯の進行を防ぐためには、食事や間食の回数を規則正しく管理し、できるだけ糖分を控えることが重要です。食後はできるだけ早めに歯磨きを行い、口腔内の酸性状態を速やかに改善することも効果的です。
唾液の分泌を促進する
唾液は、口腔内の酸を中和し、初期虫歯の再石灰化を助ける重要な役割を担っています。ストレスや加齢、薬の副作用などによって唾液分泌が低下すると、虫歯リスクが高まります。
唾液分泌を促すためには、キシリトールガムを噛む、水分補給を意識する、よく噛んで食事をすることなどが有効です。特に、唾液が少なくなりやすい就寝前には、口腔内を清潔に保つためのケアを徹底することが大切です。
定期的な歯科検診
自覚症状がなくても虫歯が進行している場合があるため、定期的な歯科検診は欠かせません。歯科医院では、プロによるクリーニングで歯垢や歯石を徹底的に除去できるだけでなく、初期の虫歯を早期発見することができます。
早期に対応できれば、削らずに経過観察できることもあり、結果的に歯を長く健康に保てます。一般的には、3〜6か月ごとの検診が推奨されています。
まとめ
虫歯は自然に治癒することがなく、放置すれば確実に進行していきます。初期段階では痛みがない場合もありますが、次第に象牙質や歯髄にまで達し、強い痛みや炎症を引き起こすだけでなく、最悪の場合は歯を失うリスクもあります。
さらに、感染が広がれば全身へ影響を及ぼす危険性もあるため、早期治療が不可欠です。
進行を抑えるためには、正しい歯磨きやフッ素の活用、規則正しい食生活、定期的な歯科検診が重要です。日常的なケアを徹底し、虫歯の早期発見・早期対応を心がけることが、歯と健康を守る鍵となります。
虫歯治療や定期健診、メンテナンスを検討されている方は、愛媛県松山市にある松友歯科クリニックにお気軽にご相談ください。
当院では、一般歯科や小児歯科・小児矯正、ホワイトニング、インプラントなど、さまざまな診療を行っています。ホームページはこちら、お電話でのご予約もお待ちしております。