• インプラント治療

インプラント治療の手術に関するリスク

はじめに|安全なインプラント治療のために

インプラント治療は治療前に歯科用CT撮影や専用シミュレーションソフトを用いた精密な検査を行い、それに基づいたサージカルガイドという器具を用いて慎重にインプラント埋入手術を行えば、安全に進めることができます。また、治療後のメンテナンスを怠らなければ、長期間、快適に使用できる人工歯です。

逆の言い方をすると、精密な術前検査や安全性の高い手術、そしてしっかりとしたメンテナンスを行わなければ治療中や治療後にトラブルが発生してしまいます。

今回は、インプラント治療の安全性とインプラント手術時の主なリスクについて解説します。

インプラント治療は、全身状態や口腔内環境が適応症の条件を満たしていれば、安全性の確保が可能であり、耐久性の高さや見た目の自然さから、入れ歯やブリッジの問題点を解決する画期的な治療法として広く行われています。

しかし、コントロールされていない糖尿病や骨粗鬆症、重度の循環器障害などの場合は医科主治医との十分な連携が不可欠となります。また、喫煙は治療成功率に大きく影響しますので、禁煙が原則です。
顎骨に埋め込むインプラント体(フィクスチャー)には、生体親和性が高いチタンが使用されますが、まれにチタンに対するアレルギーがある方もいらっしゃいますので、金属アレルギー体質の場合は、念のためアレルギーアレルギーテストを術前に行っておくことが推奨されます。
骨の成長途中の未成年者は骨の成長が終わってからの治療が基本となります。

 

神経損傷と上顎洞のリスク

インプラント治療には外科手術が含まれるため、高度な技術が必要とされます。また、術前のCT検査等で、手術部位と神経や上顎洞などとの正確な位置関係を把握しておかなければ、神経損傷や上顎洞迷入などのトラブルを起こす危険性があります。

神経損傷

インプラント体を顎の骨に埋め込む際に、顎の神経を損傷するリスクがあります。特に下顎の骨の中にある下顎管の中には、下歯槽神経が通っており、これが手術中に傷つけられると下顎や唇にしびれや麻痺などが生じる可能性があります。神経損傷は、慎重な手術計画と技術によって予防することは可能ですが、リスクをゼロにすることは難しいとされています。万が一、大きく神経を損傷した場合には、リハビリテーションや薬物療法が必要となりますが、軽度の場合は、その大半が時間の経過とともに自然回復するといわれています。

神経損傷のリスクを避けるためには、治療前の検査が非常に重要です。特に歯科用CTでの検査が、治療の精度に大きく影響するでしょう。

上顎洞迷入

 

上顎の奥歯にインプラント治療を行う場合、上顎洞と呼ばれる空洞にインプラント体が落ち込んでしまう(迷入する)恐れがあります。
上顎洞は鼻腔の奥歯寄りにあり、鼻腔と繋がっていて、鼻からの異物を排除したり、空気を温めたりするなどの役割があります。
薄くなっている奥歯の骨にインプラント治療を行う場合は特に注意が必要で、術前のCT検査によって、上顎洞の位置や形状、骨の厚みなどを詳細に把握しておくことが重要です。インプラント体を埋め込む十分な骨が無いと診断された場合には、骨を造る手術(GBR)や上顎洞粘膜を挙上する手術(サイナスフロアエレベーション)などの特殊な処置が必要になりますが、適切な位置や深さにインプラント体を埋入できる条件を整えることができれば、上顎洞への迷入リスクを大幅に軽減することが可能となります。

 

まとめ|専門性と経験の重要性

インプラント治療は術前に丁寧な検査を行い、起こりうるリスクをしっかり把握しておけば安全に受けられる治療です。リスクを把握するためには、CT検査とその正確な分析が不可欠といえます。
また、実際に外科手術を行うのは歯科医師であるため、その知識や技術、そして経験が重要です。歯科医師のスキルを直接確認することは困難であるため、治療実績や学会専門医資格の有無などを確認することも大切です。松友歯科クリニック院長は、九州大学歯学部口腔外科在籍中より開業以来約28年間に渡ってインプラント治療を行って参りました。また、日本口腔インプラント学会専門医(松山市では2人:2023年7月現在)でもあることから、日々の学会参加や新技術の研鑽を行っており、常に安心、安全なインプラント治療ができることを心掛けております。

インプラント治療に関して、ご質問やご希望がございましたら、まずは松友歯科クリニックまでお気軽にご相談ください。